片道切符で飛び乗れ

ダークな世界観が魅力のロックバンド

lynch.「AVANTGARDE」

はいみんな大好きlynch.です。新譜もとても良かったけれど、あえて今回は一つ前のリリースに当たるこちらを。いや絶対過小評価されてますよこのアルバム!路線としてはGALLOWSで確立した我流メタルコアを踏襲しつつ、より激しさを増したと言えるもので、メンバー曰くパンクやハードコアを意識したとのこと。勿論本当にハードコア化している訳ではなくあくまでも雰囲気ですが、割とシンプルなリフをガーッとブチ撒けていく様は確かにGALLOWS以降の作品の中ではラフな勢いを感じます。それに合わせてか葉月のボーカルもシャウト・グロウルの割合が多め。んでこのデス声のバリエーションがググっと広がっている印象で、高中低・地声裏声の配合を自在に変えて、歯切れよく言葉を吐き出していくことで、歌メロにも負けないくらいキャッチーなvoラインを形成。今作では特にダミ声でメロディを追うような歌唱が印象的で、4曲目や7曲目ではらしからぬガラのワルーい雰囲気を発散。このガラの悪さは今作のキーポイントの一つだと思ってまして、それは前途したラフさやバッキングの掛け声・シャウトの増加にも現れています。こういうアプローチを取るバンドって近現代V系じゃ少ない気がするし、過去のlynch.の作品でもあまり見られなかった要素ですが、個人的には新鮮な感覚で十分楽しめました。しかし自分の観測範囲ではここに抵抗を示している人が結構いたようで、本作の賛否を分けている最大の要因であるとも言えるかもしれません(そもそもV系だって元を辿ればXしかりでヤンキー文化的なところから始まっている側面もあり、案外V系の本質に立ち返る作業と言えるかもしれない…というこじつけ)。一方で90年代V系的なアプローチによる空間デザインはますます冴えていて、ここに関してはギターの片割れである悠介の貢献が大きいかと。作を重ねるごとに彼の存在ってバンド内でどんどんデカくなってる気がしますが、個人的には今後も彼にはガンガンしゃしゃり出てきてもらいたい…。今作では特に彼作曲のバラード二曲が歴代のlynch.のバラード枠の中でも屈指の出来栄えだと思うのですがどうでしょうか?こういう曲では葉月のもう一つの武器であるクリーン声が本領発揮。ハイトーンがもてはやされる時代において、低音に強みを持つ彼の歌声はしっかり地に足が付いた存在感を放っております。というわけで、AVANTGARDEなどという大層な題目があながち外れてもいない、面白い試み満載の好盤であります(それでも個人的にはやっぱりこのバンドにはアヴァンギャルドという言葉はあんまり似合わないとは思います。決して悪口ではなく)。これを単調だとかマンネリだなんて僕は口が裂けても言えないですよ。ストリーミングでも聴けますし(なんとアマゾンプライムの通常会員アカウントでも聴けます!)、amazonのレビューは一旦隅に置いて、一度聴いてみても損はないんじゃないでしょうか。

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取り合えずここにはSpotifyのリンクだけ。

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