片道切符で飛び乗れ

ダークな世界観が魅力のロックバンド

Opeth「My Arms, Your Hearse」

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スウェーデンが誇る北欧の暗黒神だったらしい人たちの3rd。98年作。いくら暗黒神と言ったってこの人たちの出自はメロディックデスということは動かしようのない事実で、実際1st2ndではまだまだイモい仕上がりだったんですが、名ドラマーマーティン・ロペスが加入し、フレドリック・ノルドストロームをプロデューサーに迎えた本作で一気に洗練化・脱メロデス化が敢行されたのでした。このアルバムからがみんなが知ってるOpethの姿なんじゃないかなと。間違いなく転機作のはずなのにその後のアルバムに比べると語られることが少ない気がしたので、こんな弱小ブログが今更Opethについて書く必要があるのか…という気持ちを抑え、おこがましくも今この文章を書いています。

 さて本作、彼らのカタログの中でも比較的尺がコンパクトで、静動の比率的には動が占める割合がより多めという、メタル的エキサイトメントを最も分かりやすく享受できるであろう内容になっています。故に(Blackwater ParkやGhost Reveriesよりも)入門にはうってつけなアルバムだと思ってるんですが、どうでしょうか?また、意図的にヘヴィ寄りにしてたDeliveranceと比べても、自然体の激しさが味わい深いです。代名詞であるミカエルオーカーフェルトの清濁両刀ボーカルは本作の時点でも十分完成していて、グロウルは言うまでもなく世界最高峰(少なくともスタジオワークに限れば本当に世界で一番グロウルが上手い人の一人だと思う)、クリーン声は後のアルバムほど豊かな表情を見せてくれるではないものの、無愛想で体温低めな歌声はこの時代のデスメタルらしい感じで大変よろしいです(一部でボソボソしたクリーン声を導入するバンド、当時のデスメタルシーンには結構います)。この人のクリーン声はまず声質そのものだけで十分間が持ってしまうのがズルい。そして何より本作を名盤たらしめている名曲Demon of the Fallの存在に言及しないわけにはいかない。6:13というこのバンド屈指のコンパクトさの中にバンドの全てが詰め込まれた、物凄いインパクトを残していく曲です。2:15あたりで一旦バンドサウンドが止み、アコギだけになる→即座に咆哮・2バスとともにデスメタルに戻るっていう一連の展開だけで一体何人が恋に落ちたんでしょうか。バンドに興味はあるけどどこから手を付けるべきか分からない方、Blackwater Parkより前は遡って聴いてないという方、全員買いです。