片道切符で飛び乗れ

ダークな世界観が魅力のロックバンド

Ripping Corpse「Dreaming with the Dead」

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デスメタルにのめり込むキッカケの一つにHate Eternalがあることもあり、エリック・ルータンのことは基本的に信頼しています。最近ではデスメタル版カート・バルーみたいになってますが、そんなルータンがデビューを飾ったバンドといえばこのRipping Corpseなのでした。こちらは唯一のフルアルバム。91年作。デスメタルデスメタルでしかないドロドロ感というものを完全に確立する以前の、スラッシュメタルから地続きの猛烈なスピードとキレ味がとにかく気持ちいい一枚です。邪悪なのにメカニカルな、異常に鋭いリフを次々繰り出してくるギター隊と、当時としては最速クラスの2バスを叩きこむドラム。いずれも統率がとれており、楽器に関してはド素人ながらかなり達者な演奏を披露しているのが伝わります。デスメタルというにはちょっと高めのデス声もこの音楽性には合ってるので問題なし。曲が短い(2分切る曲もある)のもスラッシュ的でしょうか。意外と速いばかりじゃなくて、遅いパートも結構あるんだけど、寧ろそれが当時の他のデスラッシュ系バンドにはない美点になってて、速い/遅いが双方のカッコ良さを極限まで高めているが故のカタルシス。遅いとこ単体で見ても、ルータンの後の仕事に通ずる色気や威厳を感じられて良し、と思ったけど7曲目を除いて作曲には関与してないんですね。名著、オールドスクールデスメタル・ガイドブックにて「本書ジャンルの最高傑作といいたい作品」と激賞されていたのも納得の名盤。