片道切符で飛び乗れ

ダークな世界観が魅力のロックバンド

tetola93「tetola93」

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足利産激情ハードコアの編集盤。これ出した後にバンドは解散済。好きな国産激情は?と聞かれたら大体答えとして出すバンドが3つあります。killie、kulara、そしてこのtetola93。この3つの中で一番やかましくてかつメロくて、キャッチーというか、即効性があるのがこのバンドだと思います。整ったメタリックな音作りの対極に位置するRAWできったないプロダクションで、全パートが何をそこまでという猛烈なスピードとテンションの演奏をブチかます(ベースがやたらゴキゴキと唸っててカッコイイです)。曲の長さは基本1~3分台。間違いなく根っこにはハードコアがあるのだけど、そこに情緒不安定すぎる絶叫と歌メロ、激情系と歌謡曲の暗く湿ったとこだけ抽出して煮詰めたみたいなメロディセンス、随所に差し込まれる病的なSEやサンプリングなどなどが乗っかって、陰惨で病みきった、デプレッシヴ・エモヴァイオレンスとでも言いたくなる壮絶極まりない内容に仕上がってしまっています。激情通り越して最早怨念の域。これこそ日本人にしかできないハードコアの形じゃなかろうか(そう思うと屍(もちろんバンドですよ)と共振するところがあるのかもしれない)。強烈なセカイというものを持っているので、某アニメの主題歌のカバーという暴挙に出た6曲目も完全に自分たちの曲にしてます(これホント前後の違和感がなさすぎて笑ってしまう)。なんか物凄くとっつきにくいと思われそうですが、リズム面での屈折はそこまで見られず、全編メロディックであるので、最初に言った通り凄くキャッチーなんですね。この点でもミドルテンポでリズムこねくり回しがちな激情バンド群とはちょっと違う。編集盤だというのに全体の流れがやたら秀逸なのも凄くて、特になぜかこれだけ歌中心の明るいエモ曲の9曲目、最後の最後で地獄の長尺ローテンポを叩きつける14曲目などの配置は最高ですね。下手なアルバムよりアルバムしてます。しかし解散決めた上でこれ出して散ったというのは余りにも恰好良すぎますね~。緑色のジャケも最高にイカす。