片道切符で飛び乗れ

ダークな世界観が魅力のロックバンド

gibkiy gibkiy gibkiy「不条理種劇」

すっかりメタル墓荒らしと化してる弊ブログですが、何を隠そう己のルーツというのはヴィジュアル系ではなかったかと、ふとブログタイトルとURLを見て思い出しました。ということで今日はこれです。16年作1st。名古屋系、或いは手刀界隈の行き着く場所はここだったかと。テン年代に出てきた化粧してるバンドの中でも、1番ぶっ飛んでたのはこの人たちな気がしてなりません。全世界、オールジャンル見渡してもこれほど色が濃いバンドって滅多にお目にかかれないと思うし、それがV系という、自分が愛するジャンルの中から出てきたっていうのがなんだか誇らしかったりもします。言うまでもないですが一応説明すると、メンバーはkazuma(ex-Merry Go Round他)、aie(deadman、the god and death stars、ex-the studs他)、kazu(ex-蜉蝣、the god and death stars他)、sakura(ex-L'arc-en-Ciel、Rayflower他)という、いずれも豪傑と呼んで差し支えない四人。もともとkazumaさんとaieさんのみの編成のリズム隊レスバンドhighfashionparalyze名義で活動していたところに、リズム隊2人が合流し結成したという、極めて特異な経緯で出てきたバンドです。本作の多くはそのhighfashionparalyzeにて発表した曲のリメイクという体を取っています。オルタナ/グランジがルーツだというaieさんのギターのフレーズは、ここではそういう色もありつつアヴァンブラックメタル~激情/カオティックハードコアを連想させるようなヤバい香りを放つに至り、それも直接そのジャンルから拝借したのではなくて、自分たちが元々持ってたものの中から見つけてきて、或いは錬金して提示しているような佇まい(これはCREATURE CREATUREMORRIEソロにも似た印象があったりする)。天然でCynicの隣人みたいなとこに到達してたSCARE CROWといい、やっぱりこのジャンル、時たま異次元への扉開きますね。そこに乗るkazumaさんといえば、持ち前のあのねちっこさはそのまま、力強い声でダイナミックにメロディを紡ぎながら(一曲目のロングトーン圧巻)、喉のほとけを効かせたスクリームを随所で披露、その他パットン先生よろしく変態アドリブ奇声などなど、メリゴ時代にはあり得なかった歌唱スタイルを見せてて、MORRIEとAttila Csihar(Mayhem)が悪魔合体したかのような物凄いことになってます。この二人に負けず劣らず雄弁に歌うリズム隊も聴きごたえバッチリ。特にsakuraさんは実は1番はっちゃけているのはこの人なのではないかという叩きぶり。こうして出来上がってきたものはさぞ闇一色なのかと言えばそうとも言い切れなくて、時に適切な距離感で(ベタベタくっついてくるのではない)聴き手に優しく寄り添ってくれるような居心地の良さが確かにあるんですね。特に4曲目、5曲目、7曲目などは比較的聴きやすいのではないかなと思います。何よりこの人たちには暗い音楽、アンダーグラウンドな音楽だけに許されたカリスマ性というものが強烈に備わっているのが良い。V系という音楽の一番美味しいところをしっかり持ってるバンドだと思います。