片道切符で飛び乗れ

ダークな世界観が魅力のロックバンド

Born Against「Patriotic Battle Hymns」

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US産ハードコアバンドの、91年1stと93年2ndのコンパチです。激情/カオティックコアの礎を築いた偉大な人たちですね。とはいえここには性急な変拍子も過剰なスピードも無く、ましてやメタルマナーのヘヴィネスなどもありませんが、じゃあ何がそんな発明だったのかっていうとやっぱりリフですよね。不協和音を大胆に取り入れた不穏で捻じれたギターフレーズの数々には、それまでのハードコアパンクにはあまり見られなかった気怠さやインテリジェンスが宿り、当時のシーンで結構なインパクトを放ってたんではないかと。どちらかと言うと骨の太くなったポストパンクと言った方がしっくりくる感じです。一方で憂いを帯びたエモーションの発露もあり、これも後々受け継がれる重要な要素ですね。これをベースにして、ある者はリズム、ある者はスピード、またある者はエモーション(或いはこれら全部)に磨きをかけていくことで、カオティック・ハードコア(日本国独自呼称)なるものが形作られていったわけですね。Ebullitionから出てた激情バンドとか大体元ネタこれじゃなかろうか。そんな歴史的価値云々抜きにしても今の耳に全然カッコイイんですけどね。寧ろ聴き手を振り回す要素がない分ダシの旨味がスッと沁みてくるのはオリジン故の強さ。90年代にしかない極上の退廃美が心地好いです。CDも多分1500円以内で拾えるはずだしサブスクにも上がってるので(激情/カオティック系は意外と音源に辿り着くハードルが低いのが偉い)臆せず色んな人にオススメできます。