片道切符で飛び乗れ

ダークな世界観が魅力のロックバンド

HIMO「I LOVE YOU」

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北新宿ハードコアを標榜するバンドの2018年作。フルレンスとしては4枚目になるんでしょうか。6月に対バンのkillieを目当てにこのアルバムのレコ発を見に行きまして、そこで主催のこのバンドにもがっちりハートを掴まれ、即物販で買っちゃった品です。また観たい…。さてさて内容ですがこれがまた異形。15曲16分というショートカットスタイルでありながら、スピードの追及に終始するのではなく、執拗なフレーズの反復を核に据えてしまったことで、矢継ぎ早に音を畳みかけるインパクトと反復による中毒性を両立してしまっているのがまず凄い。そして反復モノに付きまとう無愛想な印象を払拭するのがボーカル、ギター両名の活躍。あくまでも反復という軸をブラさずに情緒・叙情を滲ませる静パートとハードコア由来の機動力・瞬発力を見せる動パートを行き来するギターは、ダイナミズム演出の確かな起点として作用してます。そして最大の功労者がボーカルで、全編日本語詞によるポエトリーリーディング~ラップ~青筋怒号を独特のリズム感でもって吐き出していく様は、明確なメロディーラインはほぼ無いにも関わらずアルバム全体のリードとしてはっきりとその存在を主張し、アルバムに血と肉を通わせています。おそらく意図的に分厚さや歪みから距離を置いたであろうギターの音作りも、このボーカルをより前へ浮かび上がらせるためなんじゃないでしょうか。うーんカッコイイ。ものっそい変則的なのに変則的なんて言葉がまるで不釣り合いなハートフル大発散っぷりにやられます。優しくヒリついている。ライブだとここから5割増しでハートフルになります。